「仮想通貨って、ただのデジタルデータなのに、なぜ価値があるんですか?」
Yahoo!知恵袋などを見ていると、このような純粋な疑問を数多く目にします。株なら「会社の価値」、お金なら「国の信用」という裏付けがありますが、仮想通貨にはそういったものが無いように見えます。それなのに、なぜ1ビットコインが何百万円もの価値で取引されているのでしょうか。
この記事では、この根源的な問いに答えるため、仮想通貨(特にビットコイン)に価値が生まれる理由を、5つの側面に分けて、初心者にも分かりやすく解説します。
Q. 仮想通貨に、なぜ価値がつくの?
A. 結論から言うと、多くの人が「それは価値がある」と信じて、お金を払ってでも「欲しい」と思うからです。
これは、実は仮想通貨に限った話ではありません。例えば、金(ゴールド)も、それ自体が何かを生み出すわけではありませんが、「希少で、美しく、腐らない」という性質を、何千年もの間、人々が「価値がある」と信じてきたからこそ、価値が保存されてきました。
仮想通貨の価値も、この「人々の合意や信用」に基づいているという点では同じです。では、人々は仮想通貨の「何」に対して、価値を感じ、信用しているのでしょうか。
【理由1】欲しい人がいるから(需要と供給)
これは、あらゆるものの価格が決まる、最も基本的な経済原則です。
仮想通貨を「買いたい」と思う人(需要)が、「売りたい」と思う人(供給)より多ければ、価格は上がります。なぜ人々が「欲しい」と思うのか、その根源となるのが、次に説明する「希少性」や「実用性」といった特徴です。
【理由2】発行枚数に上限があるから(希少性)
ビットコインの最も重要な価値の源泉の一つが、その「希少性」です。
ビットコインは、プログラムによって、総発行量が約2,100万枚と、あらかじめ上限が厳密に定められています。
これは、中央銀行が経済状況に応じて発行量を調整できる法定通貨(円やドル)とは対照的です。無限に増やすことができないため、その希少性が価値を担保します。
この性質が、埋蔵量に限りがある「金(ゴールド)」に似ていることから、ビットコインはしばしば「デジタルゴールド」と呼ばれます。
【理由3】送金や決済に使えるから(実用性)
仮想通貨は、その名の通り「通貨」としての実用的な側面も持っています。
- 迅速で安価な国際送金:
銀行を介さずに、インターネットを通じて個人間で直接送金できるため、国境を越えた送金が、従来の国際送金よりも速く、安く行える可能性があります。 - 決済手段として:
一部の店舗やオンラインサービスでは、実際に決済手段として利用できます。 - プログラム可能な通貨として:
イーサリアムなどのプラットフォームでは、「スマートコントラクト」という技術により、単なる決済だけでなく、DeFiやNFTといった、より複雑な金融取引や契約行為を実行できます。
これらの「使える」という実用性が、仮想通貨を「欲しい」と思わせる需要を生み出しています。
【理由4】偽造や改ざんができないから(信頼性)
仮想通貨の取引は、「ブロックチェーン」という技術によって記録されています。
ブロックチェーンは、取引の記録を鎖のように繋ぎ、そのデータを世界中の参加者で共有・監視することで、データの改ざんや偽造を極めて困難にします。
この「偽造できない」という技術的な信頼性が、仮想通貨が「信用できるデジタル資産」として認識されるための、重要な土台となっています。
【理由5】特定の国や企業に依存しないから(非中央集権性)
日本円の価値は、日本という国家の信用に依存しています。もし日本が財政破綻すれば、日本円の価値は暴落するでしょう。
一方、ビットコインは、特定の国や企業によって管理されていません。世界中のコンピューターネットワークによって自律的に運営されている「非中央集権的」なシステムです。
そのため、一国の経済危機や、一企業の倒産といった影響を受けにくく、国家の信用リスクをヘッジするための「避難先資産」としての価値を持つのではないか、と期待されています。
価値があることと、価格が保証されることは違う
ここまで仮想通貨に価値がある理由を説明してきましたが、一つ非常に重要な注意点があります。
それは、「価値があること」と「価格が常に安定している、あるいは上昇し続けること」は全く別問題であるという点です。
仮想通貨の価値は、まだ社会的にコンセンサスが形成される途上にあり、その価格は人々の期待や恐怖といった、非常に不安定な心理に大きく左右されます。そのため、価格は常に激しく変動(ボラティリティが高い)し、価値がゼロになるリスクも常に存在します。
まとめ:仮想通貨の価値は「信用の形」が違う
Yahoo!知恵袋で多くの人が抱く「仮想通貨になぜ価値があるのか」という疑問への答えを、この記事なりにまとめます。
- 仮想通貨の価値の源泉は、一言で言えば「信用」です。
- ただし、それは国や銀行といった「中央集権的な機関」への信用ではありません。
- その代わり、
- 希少性(上限があること)への信用
- 実用性(使えること)への信用
- 技術(改ざんできないこと)への信用
- 非中央集権性(誰にも支配されないこと)への信用
- といった、新しい形の「分散化された信用」に、多くの人々が価値を見出しているのです。
この「信用の形」の変化こそが、仮想通貨がもたらした最も大きなイノベーションであり、その価値の本質と言えるでしょう。
