「仮想通貨NEM(ネム)って、昔すごく話題になったけど、最近どうなっているの?」
「チャートを見ていたら、XEMとXYMという2種類があるけど、何が違うの?」
2018年に日本で発生した大規模な流出事件によって、良くも悪くもその名が広く知られることになった仮想通貨「NEM(ネム)」とそのネイティブトークン「XEM(ゼム)」。
過去のチャートは、この事件やその後の大型アップデートによって激しく揺れ動いてきました。現在のNEMを正しく理解するためには、この歴史的な背景と、後継ブロックチェーンである「Symbol(シンボル)」との関係性を知ることが不可欠です。
この記事では、NEM(XEM)の基本的な特徴から、過去のチャートを大きく動かした出来事、そしてSymbol(XYM)との違いや将来性について、分かりやすく解説します。
仮想通貨NEM(ネム)とは?
NEM(New Economy Movement)とは、ビットコインの単なる模倣ではなく、独自のブロックチェーン技術を用いて、新しい経済圏の創出を目指して開発されたプラットフォームです。そのネイティブトークンが「XEM(ゼム)」です。
NEMは、PoI(プルーフ・オブ・インポータンス)という独自のコンセンサスアルゴリズムや、送金以外の多様な機能(アポスティーユなど)を実装できる点に特徴があり、イーサリアムなどとは異なるアプローチで開発が進められてきました。
NEMのチャートを動かした2つの歴史的な出来事
NEM(XEM)の価格チャートは、その歴史の中で、特に2つの大きな出来事によって劇的に動いてきました。
2018年:コインチェック事件による暴落
2018年1月、国内の大手仮想通貨取引所であったコインチェックがハッキングを受け、当時約580億円相当のNEM(XEM)が不正に送金されるという事件が発生しました。これは、仮想通貨の盗難事件としては史上最大級のものでした。
この事件は、NEMのブロックチェーンそのものに脆弱性があったわけではなく、コインチェック側の資産管理体制(セキュリティ)の問題でした。しかし、「NEMが盗まれた」というニュースは世間に大きな衝撃を与え、XEMの価格は暴落。その後の長期的な価格低迷の大きな要因となりました。この事件は、仮想通貨取引所のリスクと、資産管理の重要性を業界全体に問いかけるきっかけともなりました。
2021年:Symbolへの大型アップデート
NEMの歴史におけるもう一つの重要な転換点が、2021年3月に行われた「Symbol(シンボル)」への大型アップデートです。
Symbolは、NEM(XEM)の基本設計を引き継ぎつつ、処理速度やセキュリティを大幅に向上させ、企業利用(エンタープライズ)なども見据えた、より高性能な次世代ブロックチェーンとして開発されました。
このアップデートに伴い、アップデート前の特定の時点(スナップショット)でNEM(XEM)を保有していたユーザーに対して、Symbolのネイティブトークンである「XYM(ジム)」が1:1の割合で配布(エアドロップ)されました。この「XYMがもらえる」という期待感から、スナップショット実施日に向けてXEMの価格は大きく上昇し、その後のチャートにも大きな影響を与えました。
NEM(XEM)とSymbol(XYM)の違い
このアップデートの結果、現在では2つのブロックチェーンとトークンが並行して存在しています。
- NEM(XEM):
最初に作られた、オリジナルのブロックチェーンとそのトークン。基本的な機能を持つ。 - Symbol(XYM):
NEMをアップグレードして作られた、新しい高性能なブロックチェーンとそのトークン。企業利用も想定した高度な機能を備える。
例えるなら、NEMが「基本的なOS」で、Symbolがその「最新版・高機能OS」のような関係です。現在、主な開発やエコシステムの拡大は、新しいSymbol(XYM)ブロックチェーンを中心に行われています。
NEM/Symbolの将来性を判断するためのポイント
NEMおよびその後継であるSymbolの将来性を考える上では、特にSymbolが持つ以下の特徴に注目するのが良いでしょう。
- 技術的な優位性:
複数のトランザクションを一つにまとめて処理できる「アグリゲートトランザクション」など、企業が複雑な取引を安全に行うための独自の機能を備えています。 - 実社会での活用事例:
Symbolの技術は、NFTの発行、サプライチェーン管理、各種証明書の発行など、幅広い分野での活用が期待されています。実際にどのような企業やプロジェクトに採用されていくかが、将来性を占う鍵となります。 - コミュニティの活動:
NEM/Symbolは、その誕生から熱心なコミュニティに支えられてきました。このコミュニティの活動が今後も活発に続き、開発や普及が進んでいくかが重要です。
NEM(XEM)のチャートを見る際の注意点
- 歴史的な価格変動:
NEM(XEM)のチャートは、過去のコインチェック事件やSymbolへの期待感といった、特殊な要因で大きく動いてきた歴史があることを理解しておく必要があります。 - Symbol(XYM)との関係性:
現在のNEM(XEM)の価値は、それ単体だけでなく、後継プロジェクトであるSymbol(XYM)エコシステムの将来性や動向とも無関係ではありません。両方の情報を追うことが重要です。
まとめ:歴史と進化を理解することが重要
この記事では、仮想通貨NEM(XEM)について、その歴史とチャートに影響を与えた出来事を解説しました。
- NEM(XEM)は、独自の技術を持つ仮想通貨プラットフォーム。
- 過去のチャートは、2018年のコインチェック事件と、2021年のSymbol(XYM)誕生という2大イベントに大きく左右されてきた。
- 現在、NEMは旧チェーン、Symbolは新チェーンとして並行稼働しており、開発は主にSymbolが中心となっている。
- NEMのチャートや将来性を考える上では、この歴史的な背景と、Symbolエコシステムとの関係性を理解することが不可欠。
NEMは、仮想通貨の歴史における光と影を象徴するような、非常にドラマチックな道のりを歩んできた通貨です。そのチャートの裏側にある物語を知ることで、より深い洞察を持って市場と向き合うことができるでしょう。