「友人や家族の誕生日に、ちょっと変わったプレゼントとして仮想通貨を送ってみたい」
「仮想通貨をプレゼントするのって、法律的に問題ないの?税金はどうなる?」
現金やギフト券、あるいは品物を贈る代わりに、将来性のある「デジタル資産」である仮想通貨をプレゼントする。そんな新しい贈り物の形に、興味を持つ人が増えています。
しかし、仮想通貨の送金は、銀行振込とは少し勝手が違うため、その仕組みや注意点を正しく理解しておくことが重要です。
この記事では、友人や家族に仮想通貨をプレゼントするための具体的な方法から、その際に発生する税金の問題、そしてプレゼントとして受け取った側の始め方までを、分かりやすく解説します。
仮想通貨をプレゼントする主な方法
仮想通貨を誰かにプレゼントするには、主に2つの方法があります。
相手の「アドレス」に直接送金する
これが最も基本的で、仮想通貨らしい方法です。相手がすでに仮想通貨のウォレット(取引所の口座や、メタマスクなど)を持っている場合に利用できます。
- 手順:
- 相手から「ウォレットアドレス」と「ネットワーク」を聞く:
プレゼントしたい仮想通貨(例:ビットコイン)の受け取り用アドレスと、利用するネットワークの種類(例:Bitcoin)を、相手に正確に教えてもらいます。 - 自分のウォレットから送金手続きを行う:
自分が利用している取引所やウォレットの「送金(出金)」画面を開き、教えてもらったアドレスを正確に入力し、数量を指定して送金を実行します。
- 相手から「ウォレットアドレス」と「ネットワーク」を聞く:
- ポイント:
仮想通貨の送金を直接体験できるため、Web3の世界観を伝えるには最適な方法です。
取引所の「ギフト(贈る)」機能を利用する
相手がまだ仮想通貨の口座を持っていない、あるいはアドレスを聞くのがためらわれる場合に便利なのが、一部の国内取引所が提供している「ギフト機能」です。
- 手順(一般的な例):
- 取引所の専用ページで、プレゼントしたい仮想通貨と数量を指定します。
- 受け取り用の特別なリンクが生成されます。
- そのリンクを、LINEやメールで相手に送ります。
- 相手は、リンク先でその取引所の口座を開設するなどの手続きを行うことで、仮想通貨を受け取ることができます。
- ポイント:
相手が初心者でも、口座開設からサポートしてくれるため、安心してプレゼントできます。
仮想通貨をプレゼントする際の重要な注意点
仮想通貨をプレゼントする行為は、法的には「贈与」にあたります。そのため、通常の現金の贈与と同じように、いくつかの注意点があります。
税金(贈与税)の問題
これが最も重要な注意点です。個人から個人へ、年間で合計110万円を超える価値の財産を受け取った場合、受け取った側には「贈与税」の申告・納税義務が発生します。
仮想通貨をプレゼントする場合、その「時価(プレゼントした時点での市場価格)」が贈与額として計算されます。
例えば、100万円相当のビットコインをプレゼントした場合、その年の他の贈与と合わせて110万円の基礎控除額を超えなければ、贈与税はかかりません。しかし、超える場合は、受け取った側が確定申告を行う必要があります。
アドレス間違いのリスク
直接送金する方法では、送金先のアドレスを1文字でも間違えると、その仮想通貨は永久に失われ、二度と取り戻すことができません。
アドレスは必ずコピー&ペースト機能を使って入力し、さらに最初の数文字と最後の数文字が合っているかを、相手と一緒に指差し確認するくらいの慎重さが必要です。
相手への十分な説明とフォロー
仮想通貨は、価格変動が非常に激しく、管理にもセキュリティの知識が求められる、特殊な資産です。
プレゼントする際は、
- 価格が下落するリスクがあること
- アカウントのパスワードや、ウォレットの秘密鍵の管理が非常に重要であること
- 税金の計算が必要になる場合があること
といった注意点を、必ず相手に丁寧に説明する責任があります。
「プレゼントしたから、あとは自己責任」ではなく、相手が困った時に相談に乗れるような、十分なフォローを心がけましょう。
プレゼントを受け取った側はどうすればいい?
もしあなたが仮想通貨をプレゼントされたら、まずはそれを保管・管理するための「口座(ウォレット)」を用意する必要があります。
- ギフト機能で受け取った場合:
リンク先の指示に従い、指定された仮想通貨取引所の口座を開設しましょう。 - 直接送金で受け取る場合:
まずは、金融庁に認可された国内の仮想通貨取引所の口座を開設するのが、最も手軽で安全です。その口座で、送金してもらう通貨の「預入(入金)用アドレス」を確認し、それをプレゼントしてくれる相手に伝えましょう。
プレゼントにおすすめ?な仮想通貨の選び方
- ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH):
最も知名度が高く、時価総額も大きいため、仮想通貨を知らない相手にも価値が伝わりやすい、最も無難な選択肢です。 - 相手の好きなものに関連する銘柄:
もし相手が特定のゲームやアートが好きなら、それに関連するメタバースやNFTのプロジェクトの通貨(例:SAND, MANA)などを贈ると、よりパーソナルなプレゼントになるかもしれません。
まとめ:未来への投資を贈る、新しいプレゼントの形
この記事では、仮想通貨をプレゼントする方法と、その際の注意点について解説しました。
- 仮想通貨のプレゼントは、相手のアドレスに直接送金する方法と、取引所のギフト機能を使う方法がある。
- 最も注意すべきは「贈与税」の問題。年間110万円を超えると、受け取った側に申告義務が発生する。
- 送金時のアドレス間違いは、資産の完全な喪失に繋がるため、細心の注意が必要。
- プレゼントする側は、価格変動リスクや管理の重要性などを、相手にしっかり説明する責任がある。
仮想通貨のプレゼントは、単なるモノのやり取りではなく、「新しい技術や未来の可能性への投資」という体験を共有する、非常にユニークな贈り物です。
その仕組みとリスクを正しく理解した上で、大切な人への特別なサプライズとして、検討してみてはいかがでしょうか。
