「仮想通貨LUNA(ルナ)って、昔すごい事件があったらしいけど、一体何?」
「LUNAとLUNC、2種類あるけど何が違うの?」
仮想通貨市場に関心を持つ中で、一度は「LUNA」という名前を聞いたことがあるかもしれません。2022年に起きた歴史的な大暴落事件により、その名は良くも悪くも世界中に知れ渡りました。
しかし、事件の具体的な内容や、暴落後のLUNAがどうなったのかまで正確に理解している方は少ないのではないでしょうか。
この記事では、仮想通貨LUNAの基本的な情報から、市場を震撼させた暴落事件の仕組み、そして「LUNC」と「LUNA」に分裂した現在の状況まで、分かりやすく解説します。
仮想通貨LUNA(ルナ)とは?
仮想通貨LUNAとは、もともと「Terra(テラ)」というブロックチェーン上で発行されていたネイティブトークンです。
しかし、現在「LUNA」と呼ばれる仮想通貨には、正確には以下の2種類が存在します。この違いを理解することが、LUNAについて知るための最初のステップです。
- LUNC(ルナクラシック): 旧LUNA。2022年の暴落事件を起こした、オリジナルのTerraブロックチェーンのトークン。
- LUNA(またはLUNA2.0): 新LUNA。暴落事件の後、新たに作られた「Terra 2.0」というブロックチェーンのトークン。
なぜ2種類も存在するのか。その理由は、次に解説する暴落事件にあります。
仮想通貨LUNAが暴落した「テラ(Terra)事件」とは
2022年5月、仮想通貨LUNAの価格は、わずか数日でほぼ無価値になるという壊滅的な大暴落を記録しました。これは「テラ事件」とも呼ばれ、多くの投資家に甚大な被害を与えました。
事件の核心を理解するためには、LUNAと、もう一つの仮想通貨「UST(TerraUSD)」の関係性を知る必要があります。
事件の引き金となった「UST」の仕組み
USTは、「アルゴリズム型ステーブルコイン」と呼ばれる特殊な仮想通貨でした。
その目的は、常に価格が「1UST ≒ 1ドル」になるように設計されていることです。
そして、その価格を維持するための仕組み(アルゴリズム)の根幹を担っていたのが、LUNAでした。
- USTの価格が1ドルより高い場合:
投資家は1ドル分のLUNAをシステムに預けることで、1USTを発行できました。これを市場で売れば差額が利益になるため、USTの供給量が増え、価格が1ドルに戻る力が働きます。 - USTの価格が1ドルより安い場合:
投資家は1USTをシステムに預けることで、1ドル分のLUNAを受け取れました。安く買ったUSTで1ドル分のLUNAがもらえるため、USTの供給量が減り、価格が1ドルに戻る力が働きます。
この巧妙な仕組みによって、LUNAとUSTは互いの価値を支え合い、Terraエコシステムは急成長を遂げました。
崩壊の連鎖「デス・スパイラル」
しかし、2022年5月、何者かによる大量のUST売りなどをきっかけに、USTの価格が1ドルを大きく割り込む「デペッグ」という現象が発生します。
これにより、市場はパニックに陥りました。
- 投資家が、価値を失ったUSTを我先にとシステムに預け、1ドル分のLUNAを受け取ろうと殺到します。
- システムはUSTの価格を1ドルに戻そうと、膨大な量の新しいLUNAを発行し続けます。
- 市場にLUNAが溢れかえり、LUNAの希少価値が暴落。ハイパーインフレ状態に陥ります。
- LUNAの価値が下落することで、USTの価値担保への信頼もさらに失われ、さらにUSTが売られる…
この負の連鎖は「デス・スパイラル(死の螺旋)」と呼ばれ、LUNAとUSTの価格を、両方とも再起不能なレベルまで暴落させたのです。
事件後のLUNAと現在の状況
この歴史的な崩壊の後、Terraの開発者たちはエコシステムを再建するための計画を提案しました。
その結果、ブロックチェーンを分裂させる「ハードフォーク」が実施され、従来のブロックチェーンと新しいブロックチェーンが生まれることになりました。
- 旧チェーン: 名称を「Terra Classic」に変更。そこで使われるトークンも「LUNC(ルナクラシック)」と名称が変更されました。
- 新チェーン: 新たに「Terra 2.0」として稼働開始。そこで使われるネイティブトークンが、新しい「LUNA」と名付けられました。
現在、LUNCはコミュニティ主導でトークンの供給量を減らす「バーン(焼却)」などを通じた価値再生の試みが続けられています。一方で、新しいLUNAは、開発者たちが新たなエコシステムを構築しようと活動しています。
仮想通貨LUNA(LUNC)に将来性はあるのか?
「暴落したLUNCや、新しいLUNAに将来性はあるのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。
結論から言えば、どちらのトークンも極めてハイリスク・ハイリターンな投機的資産であると認識する必要があります。
LUNCは、コミュニティの熱意に支えられていますが、一度失われた信頼を取り戻し、実用的な価値を生み出すまでの道のりは非常に険しいと言えます。
新しいLUNAもまた、数多くの競合プロジェクトが存在する中で、かつてのような影響力を取り戻せるかは不透明です。
まとめ:仮想通貨LUNAは歴史を理解することが不可欠な通貨
この記事では、仮想通貨LUNAの基本から、2022年に起きた暴落事件の仕組み、そして現在の状況について解説しました。
- 現在、仮想通貨LUNAには旧LUNAである「LUNC」と新LUNAである「LUNA」の2種類が存在する。
- 2022年の大暴落は、ステーブルコイン「UST」との連動メカニズムが破綻したことが原因。
- 事件後、チェーンが分裂し、2つの異なるトークンとしてそれぞれ存続している。
- どちらのトークンも、その背景から極めて投機的な性質が強い資産である。
仮想通貨LUNAについて調べる際は、この複雑な歴史と背景を理解することが、リスクを正しく認識するための第一歩となります。