「あの有名人も、仮想通貨で大きな利益を出したらしい…」
「著名な実業家が、次に注目すべきコインとして〇〇を挙げていた」
SNSやニュースを見ていると、国内外の有名人と仮想通貨を結びつける情報を目にすることがあります。彼らの発言は影響力が大きく、特定のコインの価格を動かすことさえあるため、気になる方も多いでしょう。
しかし、その情報を鵜呑みにするのは非常に危険です。中には、有名人の名前や写真を無断で悪用した、悪質な詐欺も数多く存在します。
この記事では、仮想通貨への関与が報じられている有名人を紹介すると共に、その情報をどう判断すべきか、そして最も警戒すべき詐欺の手口と対策について詳しく解説します。
仮想通貨への関与が知られる国内外の有名人
世界には、自身の投資やビジネスの一環として、仮想通貨や関連技術に深く関わっている有名人が数多く存在します。ここでは、特に知名度の高い人物をいくつかのカテゴリーに分けて紹介します。
テクノロジー・ビジネス界のリーダー
彼らの発言は、単なる個人の意見に留まらず、市場全体の方向性に影響を与えることもあります。
- イーロン・マスク(Tesla, XのCEO)
最も象徴的な人物の一人。X(旧Twitter)での発言をきっかけに、ドージコイン(DOGE)などの価格が乱高下したことは「イーロン・マスク砲」とも呼ばれました。自社でビットコインを大量保有していた時期もあり、その動向は常に市場の注目を集めています。 - ジャック・ドーシー(Block, Inc.のCEO)
Xの共同創業者としても知られる彼は、ビットコインの熱心な支持者(マキシマリスト)として有名です。彼はビットコインを「インターネットのネイティブ通貨」と位置づけ、その普及を目指すプロジェクトに多額の投資を行っています。
国内の実業家・インフルエンサー
自身の投資経験をSNSやYouTubeで発信するなど、情報発信を積極的に行っているケースが見られます。
- 三崎優太(青汁王子)
実業家として知られる彼は、自身のSNSやYouTubeチャンネルで、ビットコインをはじめとする仮想通貨への投資経験について公言しています。 - 与沢翼
ドバイ在住の著名な投資家。株式や不動産だけでなく、仮想通貨もポートフォリオの一部としており、その市況に関する見解を発信することがあります。
海外のエンターテイメント業界
特にNFT(非代替性トークン)の分野で、アートや音楽と結びつけて早くから参入している著名人が多く見られます。
- スヌープ・ドッグ
米国の有名ラッパー。早くからNFTの世界に参入し、自身をモデルにしたNFTコレクションを発表するなど、メタバース空間で積極的に活動しています。 - パリス・ヒルトン
実業家でありタレントの彼女も、NFTの初期からのコレクターとして知られています。
有名人の発言をどう受け止めるべきか?
有名人の発言は、仮想通貨に興味を持つきっかけとして非常に有効です. しかし、それを投資判断の根拠にすることには、大きなリスクが伴います。
価格操作(パンプ・アンド・ダンプ)の可能性
影響力のある人物が、自らが安値で大量に保有している知名度の低いコインを意図的に賞賛し、価格を吊り上げた後に売り抜ける、という手口も考えられます。彼らの発言が、必ずしも純粋な善意からとは限りません。
情報の非対称性
彼らがどのような情報を元に、いつ、いくらでその仮想通貨を購入したのか、我々が知ることはできません。あなたが見た情報が、すでに彼らが利益を確定させた後のものである可能性も十分にあります。
【最重要】有名人を騙った仮想通貨詐欺の悪質な手口
有名人の発言以上に警戒すべきなのが、彼らの社会的信用を悪用した詐欺です。SNS上には、有名人の写真や動画を無断で使用した投資詐欺広告が溢れています。
具体的な詐欺の手口
- SNSの詐欺広告
FacebookやYouTubeなどで、「【緊急速報】〇〇氏が勧めるAI自動売買システム」「この方法で私は1,000万円稼ぎました」といった広告を見たことはないでしょうか。これらはほぼ100%、有名人の写真やニュース映像を無断で編集した偽物です。 - LINEグループへの誘導
広告をクリックすると、LINEの友だち追加やオープンチャットへの参加を促されます。そこでは「先生」や「アシスタント」を名乗る人物が登場し、グループ全体で利益が出ているように見せかけ、安心させて投資を勧めます。 - 偽の取引所への入金
最終的に、指定されたURLの取引所へ入金するように指示されます。しかし、そのサイトは実在しない詐欺目的の偽サイトであり、一度入金すると二度と出金することはできません。
詐欺を見分けるための対策
- 「必ず儲かる」「元本保証」「月利〇〇%」は全て詐欺
投資の世界に、リターンが保証されているものは存在しません。このような言葉が出てきた瞬間に、詐欺だと断定してください。 - 有名人本人がDMで投資を勧めることは絶対にない
著名な実業家が、見ず知らずのあなたに個別に連絡してきて、儲け話を持ちかけることはあり得ません。 - 入金先を必ず確認する
送金を指示された場合は、その取引所が金融庁の「暗号資産交換業者登録一覧」に掲載されているか、必ず公式サイトで確認してください。掲載されていない海外の取引所や、個人名の銀行口座への振り込みは極めて危険です。
まとめ:情報は「きっかけ」、判断は「自分」で
有名人が仮想通貨について語ることは、私たちが新しい技術やプロジェクトを知る良い「きっかけ」になります。
しかし、その発言を鵜呑みにし、自分の投資判断の全てを委ねるのはやめましょう。彼らと私たちでは、持っている情報も、取れるリスクも全く違います。
特に、有名人の名前を騙る詐欺は、あなたの資産を全て奪う可能性のある深刻な脅威です。甘い言葉には必ず裏があると肝に銘じ、最終的な投資の判断は、必ず自分自身で十分なリサーチを行った上で行ってください。