仮想通貨取引所MEXCとは?その特徴や利用する際の注意点を解説

「MEXC(エムイーエックスシー)って、どんな仮想通貨取引所なの?」

「取り扱い銘柄が多いと聞いたけど、日本の取引所と何が違うの?」

仮想通貨の世界に深く関わるようになると、国内の取引所だけでは扱っていない、新しく有望なアルトコインに投資したいというニーズが生まれてきます。そんな時、多くの投資家が選択肢の一つとして検討するのが、海外の仮想通貨取引所です。

その中でも、特に豊富な取り扱い銘柄数と、新しいプロジェクトの上場の速さで知られているのが「MEXC(旧:MXC)」です。

この記事では、大手海外取引所の一つであるMEXCの基本的な特徴から、そのメリット、そして日本の居住者が利用する上で必ず理解しておくべき注意点やリスクについて、分かりやすく解説します。

MEXCとは?

MEXCは、2018年に設立された、世界的に多くのユーザーを抱える仮想通貨取引所です。シンガポールに拠点を置くとされていますが、その運営はグローバルに展開されています。

MEXCは、現物取引や先物取引といった基本的な取引機能はもちろんのこと、ローンチパッド(IEO)、ステーキングなど、仮想通貨に関連する多岐にわたるサービスを提供しており、特に経験豊富なトレーダーや、新しいアルトコインをいち早く探したい投資家から人気を集めています。

MEXCの主な特徴・メリット

MEXCが、数ある海外取引所の中でも特に注目される理由は、主に以下の3点にあります。

圧倒的な取り扱い銘柄数

MEXCの最大の魅力は、その取り扱い銘柄の豊富さです。日本の取引所では数十種類程度が一般的ですが、MEXCでは数千種類もの仮想通貨を取り扱っています。これには、まだ時価総額が小さく、将来大きな成長の可能性を秘めた、いわゆる「草コイン」も数多く含まれています。

新規上場(IEO)の速さと頻度

MEXCは、新しいプロジェクトのトークンを世界でいち早く上場させる(IEO:Initial Exchange Offering)取引所としても有名です。有望なプロジェクトを誰よりも早く見つけ、上場直後の価格上昇を狙いたい投資家にとって、MEXCのローンチパッドやKickstarterといったサービスは非常に魅力的です。

豊富な関連サービス

単純な売買だけでなく、保有している仮想通貨を預けて利息を得る「ステーキング」や「セービング」、レバレッジをかけた「先物取引」、トークンセールに参加できる「ローンチパッド」など、資産を多角的に運用するためのサービスが充実しています。

日本の居住者がMEXCを利用する上での注意点・リスク

多くのメリットがある一方で、日本の居住者がMEXCのような海外取引所を利用する際には、国内取引所にはない、以下のような重要な注意点とリスクが存在します。

日本の金融庁の認可を受けていない

これが最も重要な注意点です。 MEXCは、日本の法律(資金決済法・金融商品取引法)に基づく「暗号資産交換業者」としての登録を受けていません。金融庁は、無登録で日本居住者向けに勧誘行為を行っているとして、MEXCに対して警告を発出しています。

これは、利用が即座に違法となるわけではありませんが、万が一MEXCがハッキングされたり、経営破綻したりした場合に、日本の法律による利用者保護の対象外となることを意味します。資産の保全やトラブル時の対応は、すべて自己責任となることを強く認識する必要があります。

日本円の直接入金はできない

MEXCは海外の取引所であるため、日本の銀行から直接、日本円を入金することはできません。MEXCで取引を始めるには、まず国内の取引所でビットコイン(BTC)やリップル(XRP)などの仮想通貨を購入し、それをMEXCの自分の口座に送金する、という手順を踏む必要があります。

税金計算が複雑になる

MEXCでの取引で利益が出た場合も、当然ながら日本の税法に従って確定申告を行う義務があります。しかし、海外取引所は、国内取引所のように年間の取引損益をまとめた「年間取引報告書」を発行してくれない場合がほとんどです。

そのため、すべての取引履歴を自分でダウンロードし、GtaxやCryptactといった専門の損益計算ツールを使うか、税理士に依頼するなどして、自分で損益を計算する必要があります。

MEXCはどんな人に向いているのか?

以上の特徴とリスクを踏まえると、MEXCは以下のような、比較的上級者向けの取引所と言えます。

  • 国内取引所のラインナップでは満足できず、より多くのアルトコインに投資したい人
  • 新しいプロジェクトのIEOに、リスクを取ってでも参加したい人
  • 海外取引所の利用に伴うリスク(法的保護、税金計算など)を十分に理解し、すべて自己責任で対応できる人

仮想通貨取引の経験が浅い初心者が、最初に開設する取引所としては、あまりお勧めできません。

まとめ:特徴とリスクを理解した上で利用する

この記事では、海外仮想通貨取引所MEXCの概要と、利用する上での注意点について解説しました。

  • MEXCは、圧倒的な取り扱い銘柄数と、新規上場の速さが魅力の海外取引所。
  • 一方で、日本の金融庁の認可を受けておらず、法的な保護の対象外であるという重大なリスクがある。
  • 日本円の直接入金ができず、税金計算も自分で行う必要があるなど、利用には手間と知識が求められる。
  • その特性から、仮想通貨取引に慣れた中〜上級者向けの取引所と言える。

海外取引所は、国内取引所にはない魅力的な機会を提供してくれますが、それは常に高いリスクと隣り合わせです。もしMEXCを利用する場合は、そのメリットとデメリットを天秤にかけ、必ず自己責任の原則を理解した上で、失っても問題のない範囲の資金で行うようにしてください。