「仮想通貨なんて、デメリットしかないからやめとけ」
「価格は乱高下するし、ハッキングも怖い。良いことなんて何もない…」
仮想通貨に対して、このような強い疑念や不信感を抱いている方は決して少なくありません。特に、メディアで報じられるのは価格の暴落や巨額のハッキング事件ばかり。これでは「デメリットしかない」と感じるのも当然です。
実際のところ、仮想通貨には無視できない数多くのデメリットとリスクが存在します。
この記事では、まず世間で言われる仮想通貨のデメリットを包み隠さず全てリストアップします。その上で、「それでもなぜ、世界中の人々が仮想通貨に未来を見出しているのか?」というデメリットの裏側にある本質的な価値について掘り下げていきます。
知っておくべき仮想通貨の7つのデメリット
甘い言葉は一切抜きにして、仮想通貨が抱える現実的なデメリットを見ていきましょう。これらを受け入れられないのであれば、あなたは仮想通貨に投資すべきではありません。
価格変動(ボラティリティ)が異常に激しい
これが最大のデメリットです。1日で価格が数パーセント、時に数十パーセント上下することは日常茶飯事です。株式やFXの比ではありません。精神的なストレス耐性がない人、短期的な損失に耐えられない人は手を出してはいけません。
ハッキングや詐欺のリスクが常に付きまとう
取引所のハッキングや個人ウォレットからの資産流出、有名人を騙った投資詐欺など、あなたの資産を狙う脅威は至る所に存在します。自己防衛のための高いセキュリティ意識がなければ、一瞬で全財産を失う可能性があります。
法規制が未整備で、将来が不透明
仮想通貨は新しい技術であるため、各国の法規制がまだ追いついていません。今後、予期せぬ厳しい規制が導入され、市場全体が暴落するリスクは常に存在します。国の後ろ盾がない不安定な資産なのです。
税金の計算が非常に複雑で税率も高い
仮想通貨で得た利益は「雑所得」に分類され、給与所得などと合算した上で課税されます。利益が大きくなると、税率は最大で55%(所得税+住民税)にもなります。また、年間の全取引を記録し、損益を計算する作業は非常に煩雑です。
「価値の裏付け」が分かりにくい
株式には「企業の業績」、通貨には「国家の信用」という価値の裏付けがあります。しかし、仮想通貨には明確な発行体が存在せず、その価値は「人々の需要と信用」という非常に曖昧なものに支えられています。多くの人にとって、これが「怪しい」と感じる根源です。
すぐに決済手段として使える場所が少ない
「仮想通貨で決済可能」というお店も増えてきましたが、日常的に現金やクレジットカードのように使えるかと言われれば、答えは「ノー」です。実用的な通貨としての普及は、まだ道半ばです。
専門用語が多く理解するのが難しい
ブロックチェーン、スマートコントラクト、DeFi、NFT…。次から次へと新しい専門用語が生まれ、その技術的な内容を理解するには相応の学習意欲が求められます。
ではなぜ、デメリットだらけの資産に価値が生まれるのか?
ここまで読んで、「やっぱりデメリットしかないじゃないか」と感じたかもしれません。その感覚は、全くもって正常です。
では、なぜこれほどのデメリットを抱えながらも、仮想通貨は誕生から10年以上も価値を保ち続け、世界中の投資家や企業、さらには国家までもがその価値を認め始めているのでしょうか。
それは、上記のデメリットの多くが、これまでにない新しいシステムの「裏返し」であるからです。
- 「国の後ろ盾がない」 → 「国家の金融政策から独立している」
もし自国の通貨がハイパーインフレで紙くず同然になったとしても、国境を越えて価値を保ち続けることができる、新しい「価値の保存手段」としての可能性。 - 「価値の裏付けがない」 → 「誰にも改ざんできないプログラム(コード)によって裏付けられている」
特定の誰か(国や企業)への「信用」ではなく、ブロックチェーン上で公開され、数学的なルールに従って自動実行される「コードへの信頼」と、その上で成り立つ独自の経済圏(エコシステム)の価値。 - 「管理者がいない」 → 「銀行のような仲介者なしに、個人間で価値を直接やり取りできる自由」
手数料の高い国際送金などを、より安く、速く、そして誰の許可も得ずに実行できる新しい金融インフラとしての可能性。
これらの価値は、現在の安定した金融システムの中で暮らす私たち日本人にとっては、すぐには実感しにくいものかもしれません。
しかし、自国の通貨を信用できない人々や、より自由で透明性の高い金融システムを求める人々にとって、仮想通貨が提示する未来は数々のデメリットを補って余りあるほどの魅力を持っているのです。
まとめ:リスクの裏側にある「なぜ」を考える
仮想通貨には、たしかに多くのデメリットが存在します。そのリスクを理解せずに「儲かりそう」という軽い気持ちだけで始めるのは、火中の栗を拾いに行くようなものです。
しかし、「デメリットしかない」という批判の裏側で、世界がどのように変わろうとしているのかを知ることは、新しい時代の資産形成において大きな意味を持ちます。
まずは失っても生活に影響のない少額で、この新しいテクノロジーの世界に触れてみること。そして、その価値をあなた自身で判断してみること。
それが、仮想通貨と賢く付き合っていくための第一歩となるでしょう。